歴史ある街川越で半世紀、地域密着でやってきた私たち矢川原は山田地域を中心に、樹のぬくもりを感じ、そして末永く家族と共に歩んでいける、自分たちの夢やこだわりを叶える家をどうしたらカタチにできるかわからないと悩んでいる人たちのために、とことん親身になって相談にのり、“それぞれの想い”を重ねながら、時を経るごとに味わいを深める、裸足になってほっとするぬくもりある樹の住まいと、人生を楽しむ暮らしを提供することに生きがいを感じている工務店です。
―どれだけ本物って時間がかかるんだーって思ったけど、でもすごい!!って。そういう想いで涙が出た。
これだけ大変な思いされて、大事に使います、って自然とでた言葉です。
(2020年8月お引渡し)
Sさま。この度はありがとうございました!
和室2間をリフォームするにあたり、ゲストルームでの利用やご家族が泊まることが出来る場所をご希望されていましたね。
そこで2間続きの和室と広縁の間仕切りを全て撤去し、大きな1室とすること。
4.5畳の畳コーナーを設け、建具には障子を使うことで、和モダンな空間をご提案させていただきました。工事中も「家に帰るのが楽しみで仕方ない」といった言葉やお孫さんが遊びに来た時に「いい匂いがする」と言っていたよ!と嬉しそうに話をしてくださる様子が、私にとって何よりのご褒美でした。
ご自身で用意したステンドグラスや照明器具、そしてアンティークな箪笥などで空間をセンス良く仕上げていって下さるので、私もS様のお宅に伺うのが楽しくて仕方ありませんでした。またこの先も少しづつ姿を変えていくことと思いますので、また次回遊びに行くのを楽しみにしています(笑)
本当にお世話になりました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
(担当:田中尚・野島健司)
代表取締役 田中尚
<ご主人:主 奥さま:奥 社長:社 野島:野 インタビュアー=渡部 香:渡>
〇矢川原で建てようと思った決め手は何ですか?
奥:元々どうにかしたいと思っていて、この家を建てた建設会社に頼むようかなーと1回展示場を見に行ったんですが、いまいち木のイメージじゃないんですよね。軽量鉄骨の家なので。だからどうもしっくりこなくて・・・。香りとか全然感じられない。とにかく木の良さを感じられなくて。営業マンも「うちは新築が相手よ」という感じで。聞いても答えが返ってこない、知識はない。木のこと聞いてもたぶんわからないんだろうな、と思っている時に、新聞の広告のちらしが目に留まって。
「山田のヤオコーの少し先、木がおいてある、良く通るところ。こんなところに工務店さんあるんだねー、じゃあちょっと来てもらおうよ」って、電話したのが最初です。
〇 プランを決める中で重要視されたことは何ですか?
主:まず和風。和室にしたかったので。やはり木とか珪藻土とか漆喰とか自然素材を使いたかった。後はずっと、来た人に喜んで頂けるようなゲストルームにしたかった。まさにそれをご提案頂きました。生活感がない部屋にしたくて。前は二部屋に、廊下があったんですが、広々とした空間にしたかったので、このような作りにして頂きました。
渡:まさに旅館の一部屋のようですね。最初からこういう系の家具が置きたいというイメージがあったんですか。
主:そうですね、それはどこかにぼんやりあって。それもこれも社長の絵コンテ頂いて、できるんだ!って決意が固まって。
奥:「こんなことできるんですか」って言っても、「できますよ」って。
渡:逆にできるできないかは別として、まず言っていただいた方がいいんですよね。
社:最初天井は全面板張りで、腰壁に、上の部分は塗り壁にしようかって話だったのが、腰板を辞めて、野島さんの提案で、畳コーナーの上だけ板を貼ることになって。違う空間を演出する上でいいんじゃないか、って。
渡:アクセントになってますよね。
奥:なんかちょっと茶室みたいな感じで。
それから、決まった後にステンドグラスを入れたい、ってお願いして。ダメって言われたら自分でやろうかと思ってました。
社:ここは元々2つの扉でそれぞれの和室の入口だったから1つにして、片方を収納の棚とか飾り棚つけましょう、って話になった中で、ステンドグラス入れたいと言われて、急遽直して。
渡:前にも、お持ちになっていたガラスを玄関先に入れてという方いました。
主:玄関の方から見て頂きたいんですけど、なんかちょっと遊び心とういか、意匠性をもたせたくて。そうするとこの部屋との繋がりができるとういうか、光がさして明るくもなりました。
渡:光が漏れて、他の部屋とのつながりがある感じがいいですね。こだわりが詰まっていますね。
主:写真も撮って頂きましたけど、もしお客さんで興味のある方いたらどうぞ。
奥:実際この床を踏んでみたいとかね。踏んでみないとわからないじゃないですか。
渡:まさに私ですね。見本だけ見ても感覚的にわかりづらくて、それでぜひ見せて頂きたくて連れて来てもらったしだいです。
奥:アポありでしたら大歓迎ですよ。
〇家造りの中で特にこだわったところ、悩んだところはどこですか?
奥:私達は大変じゃなかったですけど(笑) 私なんか(職人さんに)「いってらっしゃい」って言われて「お帰り」って言われるんですから。
渡:お忙しいですからね。帰ってきたらどこまで進んだかしら、って感じですね。
奥:そうそう。玄関開ける度に木のにおいがするから、毎日帰ってくるのが楽しみで。だから大工さん終わっちゃったら「大工さん終わっちゃったね・・・」って。畳屋さんも帰っちゃったから、あーもう誰もこなくなっちゃう、って寂しくて。(大工の)下斗米ブラザーズのファンだから。出身も近くて親しみがあって。お兄さんの方はいつもニコニコしているから、とても気持ち良くやって頂いて。よかったです。
〇実際に出来上がった家を見て、一番気に入っていらっしゃるポイントはどこでしょうか?
奥:迷いますね、全部!何から何までよかったです。置く物も自分達で選んで。
社:そういうのも一つの家造りの形で。当初打合せ時に「家具ありきでスタートするのも楽しいですよ」ってお話ししましたが、イベントにみえた時にはすでに自分たちはこういうふうにしてみたい、って。実は今日買いに行く、っておっしゃってましたからね。素敵な家具を選ばれて、雰囲気が良くて。
主:旅行で箱根に行った時「家に飾るものを買おうね」って、ガラス細工とか買って。
奥:一番気に入ってるところ、ここっていうのは難しいですね、空間全部。話をしている内に、自分たちのイマジネーションをすごく刺激してくれて。自分たちでもこういうことできるんだーって。
渡:一番嬉しいお言葉ですね。
社:この間新築した方もプランみて家造りが進んでいく中で、いろいろやってみたくなったと言って下さって。
奥:こんなに、脳が活性化されたというか。自分の好きなことができる、って今までなかったから。結婚してから子供育てて、生活のことだけだったんで、そういう時間を持てた、また実現できた。建具や床がいい、のは当然なんですけど、そこからさらにまた、今まで自分たちができなかったことができた。
社:これからも、照明一つ買ってどこに置こうかとか、そういうふうにまた、空間を遊んでいけるというか、いろんな楽しさがあるかと思います。
主:ぐい飲みとかをそこの棚に置こうかと。江戸切子とか。お客さんに好きなのを使ってもらって。皆さんも、自分たちが力尽くした作品だから、ぜひ出来上がりを味わってほしいんです。
渡:普段なかなかそこまで言って頂くこともないので、大工さん達も喜ぶと思います。
奥:それぐらい感謝してます。建具が入った時、私涙でましたもん。
社:建具屋さんといろいろやり取りしてて、すごく感激して下さってました、って聞きました。自分はこの上げ下げ(猫間障子)が落ちちゃうって聞いて、気になってしまって。バネ強くし過ぎると他にひずみが出ちゃうらしくて。
奥:わかりますよ、そういう理由だし。だって人の手が作ったものですよ。それが逆に良さだと思いますよ。
主:5月ぐらいとか花が次から次に咲くんで、ここから眺めるのが楽しみですよ。
渡:庭があるだけで羨ましいです。開けた時に緑があるだけで。
主:我々はこの部屋に来て、2人で食べたりとか、この前もお酒飲んだりとか。
社:まずご自身たちが楽しんで頂いて。それプラスお客様の場所として生かして頂ければ嬉しいです。またこれで、もみじが赤くなった時期とか楽しんだろうなーって。何とか引き込み戸に収められたので、障子がすべて引き込まれると、開け放った時解放感ありますからね。
主:すごく変化があって。
奥:朝開けに入ってきてなんか優越感ありますよ。誰も見てないんだけど、開けるしぐさがおしとやかになっちゃったりして。
渡:なんとなくわかります。この部屋に入った瞬間に気分が変わりますよね。
主:人間を変えるね。
〇打合せや現場で印象に残っているところはありますか?
奥:建具作ってる時に、手掛けるところをノミで掘ってたの。びっくりして。機械でやっちゃって終わりなのかと思ってたから。
・・・あとは、野島さんのひょうひょうとした感じがいいですよね。
渡:しゃべらないと怖い感じしませんか(笑)。
社: 野島さんはしゃべれなくなっちゃう人だと、相手の気持ちを引っ張れない時があるんですけど。積極的にしゃべってくれる方には、情報もご希望に答える技術力や経験もあるので。
奥:そうなんですか。
主:野島さん、カノン(愛犬のゴールデンレトリバー)にはフレンドリーだよね。
社:犬とか大好きなんですよ。
主:カノンもおじさんのこと好きなんだよね―、って。
奥:なんだよー、遊んでほしいのかー、とか言って。違うよ、あれ野島さんが遊びたいんだよ、って(笑)
主:みんな、職人さん一生懸命仕事しているじゃないですか。野島さん、さーと見て帰っちゃうじゃないですか。(奥さまが)「野島さん仕事しないね(笑)なんか外す時は一緒に作業してたよ」って言うから「現場監督なんだからって」。
渡:あの全体を見まわして帰る、のが仕事ですから(笑)。
〇工事が完了して、まず真っ先にやりたいこと、一番楽しみにしていることは何ですか?
主:夕方暗くなってから、ここで酒飲むのがすごく良くて。庭灯りないんですけど、部屋暗くして、ステンドグラスの明かり付けて。
社:庭やりましょう、ライトアップ! 今はLEDとかあるからそんなに電気食わないし、部屋暗くして庭を明るくすると、夏かけっぱなしでもあんまり虫がこないんですよ。私も自宅で、庭ライトアップして、そうすると家の中に虫こないんで開けっ放しにできる上、網戸もないから余計風も抜けるんで。
奥:そうですね。ここ両方向開いているから、すごく風通しがいいんですよね。ここの部屋は今のところTVも置くつもりないし。BGMがあれば。
渡:ないほうがいいかもしれないですね。雰囲気的に異世界という感じで。
〇その他ご感想をお願いします。
奥:一昨日建具が入った時、本当に涙がでたんですよ。それが気持ちですよね。
主:私がたまたま今年テレワークが多かったから、作業する姿を見てましたし、皆さんの頑張ってる姿をずっと見てたんでね。だから感謝もあれば、大切に使おうね、っていうのがあります。ここもね、あくが出ちゃってその頃湿気も多かったんで、とにかく忙しいって聞いてた左官屋さんにまた来ていただいて、申し訳なくて。
社:なかなか左官職って、若い子が育たないみたいで。だからあっちこっちから仕事頼まれるみたいなんです。本当人もいいし真面目な方なんで。本当に忙しくて。塗り直して、その後出ていないって聞いて、ほっとしました。
奥:すべての方の思い出ですね。皆さんの顔が毎日ふとした瞬間に出てくるんですよ。感謝しかないです。自分一人では絶対できなかったし。これだけ時間がかかるというのも全く知らなかったんですよ。S社のように出来たものをはめ混んでいく、そういう工事ばかりだったので。時間がかかるのも、見ていたら納得しました。全然違う。一軒建てたらどうなっちゃうんだろうって。
渡:だいたいほぼ半年。5、6ヶ月ぐらいですね。今早い所はあっという間に建っちゃいますからね。
奥:どれだけ本物って時間がかかるんだーって思ったけど、でもすごい!!って。そういう想いで涙が出た。これだけ大変な思いされて、大事に使います、って自然とでた言葉です。今まで思ったことなかったんですが、長生きしたくなって(笑)
社:これからね、また向こうの部屋を直すために、もう一回若返ってもらって。お困りになった時には、声かけていただければ。よろしくお願い致します。
奥:本当にちらしを1枚見て。そこから・・・。
渡:ご縁ですね。
社:見学会のちらしですね。最初どういった流れでのお問い合わせだったのか?
主:ちょうど探していて、和風建築で。近くにあったあった!って。
奥:良さげな木が置いてあるね、って。
社:あれは古材で、昔の古い建物を解体した時に使えそうな材料を取っといて。
奥:かなり宣伝効果がありますよね。良く通るから何気にいつも目に入っていたので。
社:今、川島で新築中の方も、よく通っていて、古材置いてあるのが目についてHPを見て問い合わせ頂いて。割とアイキャッチになっているみたいです。去年か一昨年やったお客様は、あの中から梁を2本選んで、8帖分の吹抜けに十字に古材の梁を入れて、その加工は下斗米(兄)がやったんですけど。
奥:すごいですね。立派な家だろうなぁー。
でも本当、この部屋を作ったお陰でガラっと変わりました。他の部分まで変わった。自分的には穏やかになったかなーと。それと良く酒を飲むようになり。
社:これは飲みますわ。これからもう少し早く日が暮れてくるようになると、エアコンいらなくなるので、開け放っていたくなりますし、秋は色付いた葉がまた見れるんで。
奥:楽しみです!