歴史ある街川越で半世紀、地域密着でやってきた私たち矢川原は山田地域を中心に、樹のぬくもりを感じ、そして末永く家族と共に歩んでいける、自分たちの夢やこだわりを叶える家をどうしたらカタチにできるかわからないと悩んでいる人たちのために、とことん親身になって相談にのり、“それぞれの想い”を重ねながら、時を経るごとに味わいを深める、裸足になってほっとするぬくもりある樹の住まいと、人生を楽しむ暮らしを提供することに生きがいを感じている工務店です。
皆さまが求めていらっしゃる「住まいの性能」とは、どんなものでしょうか?
断熱性能、気密性能、耐震性能・・・などなど、
住まいに関する性能は様々なものがあります。
もちろん矢川原でも、全棟構造計算の上、耐震等級3を目指し、
さらに全棟気密測定を行うなど、納得のいく性能レベルをクリアできる
高性能な住まいづくりを心がけております。
・・・しかし、ただ性能の高い家が「良い家」なのでしょうか?
「性能の先にあるもの・・・」
これは、住宅デザインを学ぶ建築家 伊礼智氏の言葉を借りたものです。
いわゆる設計士と呼ばれる人に対して、
デザインのために性能をないがしろにしてしまっていると
考えている方もいらっしゃるかもしれません。
中にはそのような方もいるのかもしれませんが、
伊礼さんは、ご自身の設計スタイルを変えることなく、
かといって性能も落とすことなく、
住まいの心地よさを大切にした住まいを設計されています。
住まいの良し悪しは、性能だけなのでしょうか?
高気密・高断熱であれば、満足な住まいとなるのでしょうか?
伊礼さんの言う「性能のその先・・・」とは、住まいの居心地の良さにあります。
私もそこに強く共感し、少しでも学んでいきたいと感じているところです。
2020年末に完成したこちらの住まいは、
自分なりにそれを実現できた住まいだったと思います。
性能値としては、断熱性能を示すUa値は0.44。
弊社事務所のある川越では、Heat20G2クラス。
気密性能を表すC値としては、0.5となっています。
断熱性能については、付加断熱等を行うことで上げることは容易です。
ただ、それ以上に大切にしたかったことが、お客様憧れの薪ストーブを入れることや
深い軒の掛かったウッドデッキを作り、そこで過ごす時間を作ることでした。
性能値を高くするには、極端な言い方をすれば、
断熱材を厚くして、性能の高いサッシを使用し、
南の窓を大きくして日射取得を増やすこと、
そしてそれ以外の窓を減らしていくこと。
これを行うことで、割と簡単に性能値は高くなります。
ただ、大きな窓の前が人通りの多い道路で、
人目が気になってカーテンを開けることが出来なかったり、
北側に素晴らしい景色が広がるところで、北だからと言って窓を作らないというのは
本当に良い住まいと言えるのでしょうか?
私は良い景色があれば、家の中からその景色を見たいと思いますし、
南に見たくないものがあれば何とか見えないようにする工夫も必要だと思います。
性能については、一定レベルは当たり前に必要なことで、
それはHeat20・G1~G2くらい。
気密についてもC値で1.0を切っていれば、
そこにあまり固執したいとは考えていません。
耐震性能については、
許容応力度計算で耐震等級3にすることを基本としていますが、
ここは窓にして「景色を見たい」と思えば、
お客様がご納得いただければ等級2でも良いと考えます。
今回使用した木製サッシの片引き戸もそうです。
すべり出し窓などと比較すれば、気密性能が少し劣る点もありますが、
全開放した際の解放感やその風格は気密性能を上回る価値があると思います。
まるで一枚の絵画のようですよね。
これを「操作」するのが、ガラリ戸や障子です。
ガラリ戸は外からの目線を制御し、室内からの視線は外に通してくれます。
また、格子から漏れる光もまた美しく、見るものを楽しませてくれます。
障子は光を柔らかくコントロールしてくれますし、
そこに映る影は、本当に美しいものです。
※右の写真は別の現場のものです。
これも以前工事したお宅です。北向きの書斎でしたが、
奥の緑が綺麗だったので、コーナーで窓としてみました。
ここに座って、テレワーク出来たら仕事もはかどると思いませんか?
性能値ばかりに囚われてしまうと、こういったことが出来なくなります。
ならば、自分にできる最大限の「心地よい生活のできる住まい」を設計し、
その中で、性能としてもできる限りのことを行っていく・・・。
このスタンスで、お客様の住まいに向き合っていければと思っています。
決して性能をないがしろにするということではなく、
性能は当たり前にあることとして、その先の心地よさを追い求めていきたい。
私はそう考えています。
ご共感いただけたら嬉しいです。
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